富士山が世界文化遺産候補の暫定リストに登載されたというけれど・・・

 ニュージーランド・クライストチャーチで開催された国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第31回世界遺産委員会で6月27日、富士山の世界文化遺産候補となる暫定リスト入りが決定したようです。世界文化遺産候補といっても、各国から提出された候補地がそのまま登載されただけなので、世界文化遺産の指定に近づいたというわけでもなさそうです。
 富士山の世界遺産登録を目指す運動は最初、世界自然遺産登録を目指していましたが、世界に名だたるゴミの山・富士山のゴミ問題を解決できず、それならばと世界文化遺産登録に鞍替えした経緯があります。どちらにしてもゴミ問題は避けて通れないのですが・・・
 世界遺産登録の障害になるもうひとつの問題があります。それは観光業界の問題です。特に文化遺産を目指すのであれば、富士山の自然だけでなく、その周辺地域や人とのかかわりが重要になってきます。すなわち富士五湖周辺や山小屋などの観光客を目当てにした観光業界の動向です。以前、世界遺産登録を目指す運動が始まったとき、富士山周辺の観光業界関係者は、規制が厳しくなって観光客が減少し、自分たちの生活が脅かされると猛反対をしました。国や県は、これ以上の規制は行わないと説明しましたが、観光業界関係者は納得していません。この問題は棚上げされ、うやむやになったままです。
 世界遺産に登録されるにはさまざまな条件が提示され、それらをクリアするために当然厳しい規制も必要になってくるでしょう。できるだけ多くの観光客を集め、お金を儲けようという今の観光がそのままでいい訳はありません。また、観光客の利便性のために、富士山頂に郵便局や自動販売機を置いているのも世界遺産の趣旨に反することでしょう。これらのことはゴミ問題以上に深刻な障害になると思っています。
 私たちは世界遺産登録を海外にアピールする前に、国内でもっと真剣に考え、覚悟を決めなければならないと思います。本当に世界遺産に登録される覚悟はありますか。今、富士山のために何をすればいいのですか。