「富士山を世界遺産にする国民会議」の設立・・・なんか変じゃない?

 新聞等からの情報によると、富士山の世界(文化)遺産登録を目的にしたNPO法人「富士山を世界遺産にする国民会議」の設立を目指す準備委員会が開かれたようです。同会議は今後、富士山の世界遺産登録をテーマにしたシンポジウムや国民が参加できるイベントの開催、インターネットによる署名活動などを通じて、5年後の世界(文化)遺産登録を目指すといいます。
 世界遺産とは1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」で、すぐれた普遍的価値をもつ建築物や遺跡などを対象にした"文化遺産"と、すぐれた価値をもつ地形や生物、景観などをもつ地域を対象にした"自然遺産"などを保護しようというものです。日本でこれまでに登録された文化遺産は「法隆寺地域の仏教建造物」、「姫路城」、「原爆ドーム」など10箇所。自然遺産は「屋久島」と「白神山地」の2箇所です。
 これまで富士山を世界遺産に登録しようと言う運動は、自然遺産への登録を目指していました。しかし富士山での垂れ流し状態のトイレの問題、山麓での廃棄物の不法投棄などのために、候補リストからも削除されてしまいました。現在、NPO法人「富士山クラブ」や民間の自然保護団体等の努力で、徐々に改善に向かってきています。しかし世界遺産の登録までの道のりは容易ではありません。
 今回の「国民会議」の設立は、自然遺産への登録が困難なため、文化遺産への登録を目指そうとするものです。これってなんか変だと思いませんか? 「国民会議」の会長への就任予定者が「富士山は日本のシンボル。神の山として信仰を集め、芸術・文化の象徴としても親しまれてきた。」と言ったり、「国民会議」設立準備委員会委員長が「自然遺産登録は12年前から目指しているが、なかなかうまくいかない。富士山は自然より文化遺産がふさわしい。」と文化的意義を強調しても、ゴミ問題や自然環境保全をそのままにして、世界遺産に登録されるはずがありません。
 このサイトでもこれまで富士山を世界遺産に・・・と応援してきましたが、ただ単に世界遺産に登録されればいいというだけでなく、登録された後の観光客増加による自然破壊の問題や、逆に自然保護の名目で、我々の手が届かなくなるような規制の強化の問題などをみんなで考え、多くの人に関心を持ってもらいたいとこのサイトを立ち上げました。世界遺産に登録されるのが最終目的ではなく、あくまでも美しい富士山の自然を取り戻し、日本のシンボルとして後世に残していく努力をしていかなければと思っています。
      !やっぱり富士山は自然遺産への登録を目指そう!